2015年5月1日金曜日

「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」 東京オペラシティ アートギャラリー

今回は初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」をご紹介します。
東京オペラシティ アートギャラリーは一般料金1,200円がぐるっとパスのみで入場できます。

まず「高橋コレクション」とは?
精神科医・高橋龍太郎氏の収集による現代アートのコレクションであり、1990年代以降の日本のアートシーンを俯瞰するうえで欠かせない存在として高い評価を得ているものです。

この展覧会は高橋氏が日本のアートと文化を読み解くキーワードとして提案する「ミラー・ニューロン」をタイトルに掲げています。

「ミラー・ニューロン」とは?
他者の行動を見て「鏡」のように自分も同じ行動をしているかのように反応する神経細胞を意味し、それは他者との共感や模倣行動をつかさどるとも考えられています。

この展覧会においては、日本の現代アートに広く見られる「なぞらえ」の作法が、「模倣」「引用」などを重要な手段とする現代アートの世界的潮流だけでなく、「見立て」や「やつし」といった伝統的な日本の美意識とも通底していることを意識させるキーワードとして用いられています。

草間彌生《自画像》1995、《鏡の部屋―愛は永遠に(No.3)》1964-86、《かぼちゃ》1990
(C)YAYOI KUSAMA Courtesy of KUSAMA Enterprise, Ota Fine Arts

草間彌生《ジュリエット・グレコ》1970、《シャロン・テイト》1970
(C)YAYOI KUSAMA Courtesy of KUSAMA Enterprise, Ota Fine Arts

会場に入って一番最初の展示室には草間彌生の作品が並びます。
水玉、かぼちゃ、鏡の部屋などなどおなじみのモチーフの作品と対面できます。


菅木志雄《捕われた素材》1986、《空態化-7》2011
(C)SUGA Kishio Courtesy of Tomio Koyama Gallery

近年はより幅広いコレクションを志向し、「もの派」の菅木志雄ら、日本の現代美術史に大きな影響を与えたキャリアの長い作家なども積極的に収集しています。


ヤノベケンジ《イエロー・スーツ》1991
(C)YANOBE Kenji Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

会田誠《美しい旗(戦争画RETURNS)》1995、《ジューサーミキサー》2001
(C)AIDA Makoto Courtesy of Mizuma Art Gallery



《なすび画廊―福田美蘭》1993、
《なすび画廊―宮島達男「花ぶらんこゆれて》1994
(C)OZAWA Tsuyoshi
小沢剛が牛乳箱の中を展示室に見立てた「なすび画廊」。


須田悦弘《雑草》2008
意外なスペースに設置され、思わず見落としてしまいそうな須田悦弘の作品も見逃さずに鑑賞してみてください。

須田悦弘《雑草》2008
(C)SUDA Yoshihiro Courtesy of Gallery Koyanagi

束芋のドローイング作品などで構成された一角。

束芋《にっぽんのちっちゃい台所》2003
(C)Tabaimo Courtesy of Gallery Koyanagi
ふすまの開いているすきまから映像を覗き込むと、そこには、現代社会の問題を諷刺したかのような束芋独自の世界観がひろがっています。


西尾康之《Crash セイラ・マス》2005
(C)NISHIO Yasuyuki (C)Sotstu, Sunrise Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
西尾の作品は、その大きさだけでなく、今回の展示でサブカルチャーと現代美術のつながりを感じさせるインパクトのある作品といえます。
下に置いてある鏡からは、切り開かれた胸の中がのぞけます。


塩保朋子《cosmic perspective》2015
(C)SHIOYASU Tomoko Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE
舟越桂《遠い手のスフィンクス》2006
(C)FUNAKOSHI Katsura Courtesy of Nishimura Gallery


名和晃平《PixCell-Lion》2015
(C)NAWA Kohei Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

名和晃平の最新作で高橋氏のために制作された《PixCell-Lion》が初公開されています。

 森山大道
(C)MORIYAMA Daido Courtesy of Taka Ishii Gallery and Daido Moriyama Photo Foundation

荒木経惟
(C)ARAKI Nobuyoshi Courtesy of Taka Ishii Gallery
アラーキーと森山大道の写真が向い合った壁面に展示されている。



蜷川実花《PLANT A TREE》2011
(C)mika ninagawa Courtesy of Tomio Koyama Gallery

展覧会を観て感じたのは、このように日本の現代アートを一堂に鑑賞できる機会は大変貴重だということです。
今や世界的に活躍する村上隆や奈良美智をはじめとする日本の現代美術の担い手たちの初期の作品が多く紹介されているからです。

90年代から現代アートを見てこられた方は回顧的に観ることもできるでしょう。初めてこれらの作品に接する方は入門編として楽しむことができます。
今回、この展覧会で出会って気になった作品があったなら、その作家の作品を掘り下げてみるというのも興味深いことでしょう。
そういう意味でも現代美術との良い出会いを演出してくれる展覧会ではないでしょうか。



草間彌生《ハーイ・コンニチワ! ヤヨイちゃん》2004、《ハーイ・コンニチワ! ポチ》2004
(C)YAYOI KUSAMA Courtesy of KUSAMA Enterprise, Ota Fine Arts
そして最後の展示はやはり草間彌生作品。
この2作品については来館者も撮影することができます。


会場を出て右手にはギャラリーショップ「gallery5」があります。
ぐるっとパスはこちらのショップで販売していますので、こちらでお買い求めください。



展覧会図録、関連書籍の他、ミュージアムグッズも豊富に取り揃えられているので、帰りには必ずチェックしましょう。

高橋コレクション展 ミラー・ニューロン
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:2015年4月18日(土)~6月28日(日)
開館時間:11:00~19:00
(金・土は20:00まで、最終入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,200円 大・高生800円 中学生以下無料
ぐるっとパスのみで入場できます。



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