2015年9月30日水曜日

「史実と創作―有三が描いた歴史」展 三鷹市山本有三記念館

今回は三鷹市山本有三記念館と、「史実と創作―有三が描いた歴史」展をご紹介します。
三鷹駅の南口から徒歩12分のところに、三鷹市山本有三記念館はあります。

作家・山本有三が1936年から1946年まで家族とともに住んだ家を記念館として公開しているものです。
大正末期に建てられた本格的な洋風建築で、石を自然に積み上げたような煙突や、個性的にデザインされた3つの暖炉が見どころです。
希少な建築物として1994年に三鷹市の文化財に指定されました。


駅からは風の散歩道という玉川上水沿いの一本道を歩いていきます。
通り抜ける風といっしょに散歩を楽しめるステキな道を歩いていきます。
かわいらしい門の奥、前庭の向こうに記念館が建っています。
入口は、洋館らしい重厚ながらもどこか素朴な風合いの扉です。
入口を入ってすぐ、右側の受付でぐるっとパスを販売しています。
受付の正面には館内案内図があります。
1階は主に常設展のスペースで、2階の展示室を使って企画展が行われます。

まず、1階から見ていきましょう。
この洋館の一番の特徴、3つの暖炉です。
「イングルヌック」
イングルヌックとは暖炉の周りに長椅子などをおいてくつろぐ場所のことです。スコットランド古語で「暖かく居心地がいい場所」という意味があります。


旧食堂左側の暖炉。スクラッチタイルが使われています。
旧応接室の右正面の一番大きな暖炉。
図書・映像コーナーにある軽井沢彫の椅子は座って休憩することができます。
展示されている当時の調度品。鮮やかなブルーが洋館の木目やレンガの茶色に映えています。
旧応接室の椅子も趣があります。
植物をモチーフにしたワインテーブル。

常設展は「山本有三の生涯」と題され、有三ゆかりの品々が展示されています。


三鷹在住時代の代表作、「路傍の石」の直筆原稿なども展示されています。
この洋館のまたひとつの魅力は、ステンドグラスです。
旧応接室や階段の途中にあります。
階段上から見下ろす、ステンドグラスと照明。
2階には、山本有三が執筆をした、和室書斎もあります。

2階の3つの展示室を使って企画展が行われます。
9月12日(土)から2016年3月6日(日)まで、「史実と創作―有三が描いた歴史」展が開催されます。
山本有三は歴史を素材にして数多くの作品を執筆しました。綿密な調査によって史実の中に劇的なものを見出し、戯曲や小説へと昇華させていった有三の創作の跡を辿りながら、歴史に舞台を借りて描いた人物像に迫ります。
展示品より、薩摩藩を舞台にした戯曲三部作のひとつ「西郷と大久保」。


建物を正面とは反対側(南側)から見たところ。
こちら側には有三記念公園があります。
この公園では、四季折々の花と緑を楽しむことができます。
記念館を見た後に、散策したり、休憩したり、もうひとつの楽しみ方ができます。
こんな小さな池もあります、夏は涼しげですね。

門から建物までの前庭も公開されていて、とてもきれいに植栽の手入れもされています。
こんなベンチもいくつかあり、休憩することができる気持ちの良いお庭です。
最後に門の前には“路傍の石”と名付けられた石があります。
左には、有三が「路傍の石」執筆当時に道端でこの石を見つけて家の裏庭に運びこみ、いつしか“路傍の石”と呼ばれ親しまれるようになったという由来が記されています。



三鷹市山本有三記念館
HP http://mitaka.jpn.org/yuzo/
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日と翌々日休館)
「史実と創作―有三が描いた歴史」展
会期:2015年9月12日(土)~2016年3月6日(日)
入場料:一般300円
※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介助者は無料
ぐるっとパスだけで入場できます。 



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